外国人労働者の国外扶養親族の厳格化!
間もなく師走を迎え、今年も年末調整の時期が近付いてまいりました。扶養の範囲内で働くアルバイトの方など、「扶養の範囲を超えないように出勤日数を調整しなきゃ」そんな声が聞こえてくる時期です。
さて、日本の税制では、外国人の労働者であっても等しく勤め先の会社で年末調整を行い、日本国外に住んでいる扶養親族についても扶養控除などを適用することができます。これまでは、会社が日本国外に住む親族の所在確認や所得の把握などを行う義務はなく、本人の申告のみで扶養控除などを適用することができました。
しかし平成28年1月から会社が外国人の労働者へ給与等を支払う際や平成28年12月の年末調整の際、扶養親族について扶養控除などを受けようとする場合に提出する書類が厳格化されました。
制度の概要
国外にいる親族で扶養控除等の適用を受ける場合には、親族であることを証明する「親族関係書類」及び生活費などの「送金関係書類」を提出又は提示しなければならないこととされました。この改正は、平成28年1月1日以後に支払われる給与等について適用されます。
毎月の給与等の支払い
給与等の源泉徴収において、国外にいる親族について扶養控除、配偶者控除など(以下「扶養控除等」といいます。)の適用を受ける外国人は、その親族について「親族関係書類」を扶養控除等申告書等に添付しなければならないこととされました。
親族関係書類とは・・・
- 戸籍の附票の写しその他の国又は地方公共団体が発行した書類及びその親族の旅券の写し
- 外国政府又は外国の地方公共団体が発行した書類
(その親族の氏名、生年月日及び住所又は居所の記載があるものに限ります。)
年末調整
給与等の年末調整において、国外にいる親族について扶養控除等の適用を受ける外国人は、「送金関係書類」(注)を扶養控除等申告書に添付しなければならないこととされました。
「送金関係書類」(注)とは、次の書類でその外国人が国外にいる扶養親族の生活費又は教育費に充てるための支払を、必要の都度、各人に行ったことを明らかにするものをいいます。
- 金融機関の書類又はその写しで、その金融機関が行う為替取引によりその外国人からその親族に支払をしたことを明らかにする書類
- いわゆるクレジットカード発行会社の書類又はその写しで、そのクレジットカード発行会社が交付したカードを提示してその親族が商品等を購入したこと等及びその商品等の購入等の代金に相当する額をその外国人から受領したことを明らかにする書類
訳文添付
「親族関係書類」又は「送金関係書類」が外国語により作成されている場合には、訳文を添付等する必要があります。
通常、その年の年末調整の際に、翌年分の扶養控除等申告書を提出してもらうことが多いと思います。実際には、平成27年12月の年末調整の際に、従業員の方から平成28年分の扶養控除等申告書を提出してもらいますが、扶養親族のいる外国人の従業員からは、そのほかに「親族関係書類」を提出してもらうことになります。そして平成28年12月の年末調整の際には、生活費などを親族へ送金した送金明細などを提出してもらうことになります。
外国人の従業員を多く雇用している会社にとっては、大変煩雑な制度改正となり、外国人の従業員への早目の周知が必要となります。
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