暮らしの周りの所得税

確定申告のシーズンが近づいてきました。
一か所から支給を受ける給与以外には特に収入がない方が、確定申告をするという場合、そのほとんどは医療費又は寄付金控除で所得税の還付を受けるときか、住宅ローン控除を受ける一年目であるかと思います。
 今回は、そのように日頃はあまり確定申告と関係がない方に、将来的に確定申告をするときに備えて、日常生活をする中で実践してほしいことをご紹介します。

マイホームを購入したとき

>>>購入金額のわかる資料(契約書等)の保存を

住宅ローン控除に意識が集中してしまいがちですが、マイホームの購入金額がわかる資料の保存(ex.契約書)はしておきましょう。将来的にマイホームを売却する時に、この時の資料を所得税の計算で使用します。もしも、それらの資料を処分してしまったとしても、マイホームの売却には所得税がかかりにくいものですが、売却損が発生した場合に受けられる所得税の軽減措置がありますので、万が一に備えましょう。

所有している不動産など、金額の大きなものを売却するとき

>>>売却時期の検討を

個人が財産を処分して売却益が発生すると、譲渡所得として所得税がかかります。
このとき、売却物の所有期間が5年超であれば、そうでない場合より税金が軽くなることになっています。
ただし、売却するものが不動産であるときは、所有期間の計算期間に注意が必要です。不動産は、譲渡した年の1月1日において、所有期間が5年を超えているかどうかによって、税率が変わるためです。

例:平成28年2月に不動産を購入。後日売却することになった場合の税率

不動産は大きな買い物のため、処分の際も相当慎重になると思いますが、税制の面でも慎重にご判断ください。

所有している不動産など、金額の大きなものを売却するとき

>>>「おむつ使用証明」の入手を

介護を受ける方が寝たきり等でおむつを使用しなければならなくなった場合、かかりつけの医師の先生から「おむつ使用証明」※2の発行を受けましょう。使用証明書に書かれた日付以降に購入したおむつのレシートは、医療費控除の対象となりますので、毎年の医療費控除に含めて確定申告の還付を受けるようにしましょう。
おむつ使用証明書の対象者は、障害者控除の対象者にもなりえます。介護の状況に応じて、地方自治体から認定証を受ける等の措置を取っておきましょう。

※1:ここでは、介護される人と介護費用を負担する人の生活費が同じ所でまかなわれている場合をいいます。
※2:原則的は毎年証明書の発行が必要ですが、自治体によっては簡便に済ませられる方法もあります。

インプラント等、高額な医療費を支払って治療を受ける場合

>>>年金受給者になる前に検討を

定年退職をし、年金受給者となった場合、現役で働いていた時より収入が減ることは当然のことながら、国民年金・厚生年金などの公的年金には最低70万円の控除があるため、納税負担も少なくなります。年金受給年齢になれば、インプラント治療の検討をされることもあると思われますが、インプラント治療はコストがかかるため、内容と支払時期によっては医療費控除上限である200万円を超えてしまうことがあります。

医療費控除額の計算式

…その年(1/1~12/31)に実際に支払った医療費の合計額-保険金等で補填される金額-10万円※3

インプラント治療のほか、ご家族で保険金が出ない高額な医療を受ける方(例:医療費控除対象となる歯列矯正)が出てくる場合もあると思います。高額な医療費のかかる治療を希望される方は、定年前の早めの時期から治療時期と、医療費の支払計画を検討しておきましょう。

※3:その年の総所得金額等が200万円未満の人は、10万円ではなく総所得金額等の5%

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